翻訳者の消費税への対応

1. はじめに−消費税の動向
2. 消費税での手続き


1. はじめに−消費税の動向

*最終的には専門家に尋ねることをお勧めします。国税局の税務相談室では無料で相談に乗ってもらえます。直接訪問する他、電話での相談もできます。税についての相談窓口から全国の税務相談室を辿ることができます。

個人事業主は開業1年目か、基準期間(課税期間の前々年度)と特定期間(前年の1月1日〜6月30日)の課税売上高(所得ではありません)が1000万円以下の場合、消費税を免税されます。

2018年1月1日から12月31日までの売上高が1000万円超の場合、2020年1月1日から12月31日までが消費税の課税期間となり、2021年の指定期間に納税します。2020年中の売上高が1000万円を超えていなくても、消費税納税の義務があります。

また、2018年中と2019年1月1日〜6月30日の売上高が1000万円以下であれば、2020年中の売上高が1000万円を超えても消費税を納める必要はありません。

詳細は、国税庁納税義務の免除をご参照ください。

ただ、2023年10月1日から適格請求書等保存方式(インボイス制度)が開始されており、登録すると消費税の課税事業者になります。登録は任意で、登録しなくても2029年10月まで6年間の経過措置がありますが、登録しないと取引先の負担が増えるため、取引の減る可能性があります。以下、登録する前提で話を進めます(詳細は、「通訳・翻訳業のインボイス制度への対応(講演者:税理士 福島宏和さん)」などをご参照ください)。


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2. 消費税での手続き

*消費税の「やよいの青色申告」での会計処理については、「【経理】翻訳者の青色申告(仕訳編)」「6. 消費税の会計」をご参照ください。

インボイス制度への登録は、郵送またはe-Taxで行えます。郵送の場合、国税庁「[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」にある「適格請求書発行事業者の登録申請書」をダウンロード、印刷して記入し、インボイス登録センターに送付します(税務署ではありませんのでご注意ください)。e-Taxの場合については、「申請手続」をご参照ください。

書き方は、「[手続名]適格請求書発行事業者の登録申請手続(国内事業者用)」にある「登録申請書の書き方 フローチャート」「インボイス申請書の書き方(個人事業主向け) | 東京トラスト会計」などをご参照ください。

消費税の課税方式には本則課税と簡易課税がありますが、簡易課税を選択すると消費税記帳の手間が省けます。翻訳業の場合、会計ソフトなどで第5種を選択します。

*前々年の課税売上高が5000万円超である課税事業者は、簡易課税を選択できません。簡易課税は届出をしたら最低2年間継続しなければならず、止めるにも届出が必要です。

簡易課税を行う場合、「消費税簡易課税制度選択届出書」を所轄税務署に提出する必要があります。課税期間の開始前に提出します。

提出するには、「[手続名]消費税簡易課税制度選択届出手続」にあるとおり「消費税簡易課税制度選択届出書」をダウンロード、印刷して記入し所轄税務署に持参または郵送するか、e-Taxを利用します。

書き方は、「【インボイスと一緒に申請】簡易課税届出書の書き方とインボイス特例 | 東京トラスト会計」などをご参照ください。

インボイス登録ではじめて課税事業者になる場合、2割特例を利用できる可能性があります。事前の届出は必要なく、本則課税や簡易課税とどちらを利用するか申告の都度選べますが、課税売上高が1000万円以下である、2023年10月1日から2026年9月30日までであるなどの条件があります。詳細は、「今さら聞けない...インボイスの「2割特例」って何?注意点も解説」などをご参照ください)。

消費税の課税事業者は、確定申告の際に消費税申告書とその付表を提出します(提出期限は3月31日(土日祝日などの場合はその翌日)です。所得税(3月15日)と異なりますのでご注意ください)。

消費税の納税方法はいくつかありますが(詳細は国税庁「【税金の納付】」をご参照ください)、預貯金口座からの自動引き落としが一番簡単でしょう。自動引き落としをする場合、「G-2-1 申告所得税及び復興特別所得税、消費税及び地方消費税(個人事業者)の振替納税手続による納付」にあるとおり「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」をダウンロード、印刷して記入(入力用の場合は入力して印刷)し所轄税務署に持参または郵送あるいは当該金融機関に持参するか、e-Taxを利用します。振替納税口座を変更する場合は、「預貯金口座振替依頼書兼納付書送付依頼書」を提出し直します。

消費税は経費になるので、引き落とす預貯金口座は事業用のものにするといいでしょう。詳細は「【経理】翻訳者の青色申告(仕訳編)」「6. 消費税の会計」をご参照ください。


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