翻訳のためのソフトウェア
1. 翻訳者になる前に用意したいソフトウェア
2. 翻訳業務に役立つソフトウェア
3. その他のソフトウェア
*OSはWindowsとします。Macintoshその他については、私がユーザーでないのでわかりません。
*名前の前に◎がついているものはオンラインソフトです。サイトから直接ダウンロードしてインストールできます。
*名前の前に○がついているものはパッケージソフトであり、店舗やオンラインショップでCD-ROMやDVD-ROMを購入する必要があります。ダウンロード版がある場合もあります。
*名前の前に●がついているものはウェブサービスです。
*フリーウェアとは、無料のソフトウェアのことです。シェアウェアとは、ダウンロード、インストールが無料で、継続使用する際に料金を支払うソフトウェアのことです。
*価格は、現在のものと異なる可能性があります。
*2004年4月1日より価格の総額表示が義務づけられていますが、税別表示となっている場合があります。
*ソフトウェアの購入、ダウンロード、インストール、使用は自己責任で行ってください。
*「【書誌(実務編)】翻訳のためのPC本」もご参照ください。
1. 翻訳者になる前に用意したいソフトウェア
・エディタ
*原稿はWordファイルでの納品が大半なため、Microsoft Wordは必須です。Microsoft Excelも、英日対訳集をExcelファイルで支給されることがあるため用意しておきましょう。
*テキストファイルで作業をする場合、Windows付属のNotepadは機能が貧弱なため、以下の秀丸エディタをお薦めします
◎秀丸エディタ
シェアウェア、4000円+税。日本を代表すると言っていいテキストエディタ。動作が高速、軽快な他、さまざまな機能があります。
*秀丸エディタの設定については、「【PC】翻訳のためのPCと設定」の「2.3 秀丸エディタの設定」をご参照ください。
*「【書誌(実務編)】翻訳のためのPC本」の「全般」、「秀丸エディタ」もご参照ください。
*秀まるおのホームページで、秀丸エディタの設定内容を新しいパソコンに移行する手順が紹介されています。概要はこちら、詳細はこちら。
*秀丸エディタにはマクロ機能があり、マクロという簡単なプログラムのようなものを書くことで、欲しい機能を実装できます。秀丸マクロは以下のサイトなど多数のサイトで、主に無料で公開されています。
秀丸エディタのマクロライブラリ*Buckeyeさんのサイトで、翻訳に役立つマクロが公開されています。
*Iranoan の Web サイトで、秀丸エディタのマクロや秀丸メールのマクロが公開されています。
*技術翻訳者のブログ「まだら猫の翻訳日記」で、秀丸エディタの設定やマクロについて書かれています。
*秀丸エディタでマクロ登録とキー割り当てを行うと、マクロの実行が簡単になります。「マクロ」-「マクロ登録」でマクロを登録し、「その他」-「キー割り当て」でキー操作を割り当てます。
*秀丸エディタで「ウィンドウ」-「他の秀丸エディタと内容比較」を選択すると、現在の秀丸エディタの内容と他の秀丸エディタの内容を比較できます。
◎秀丸パブリッシャー
フリーウェア。秀丸エディタの印刷機能を拡張します。Ver3.16以上の秀丸エディタがインストールされている必要があります。
◎分割禁止拡張 for 秀丸エディタ/秀丸メール
フリーウェア。秀丸エディタや秀丸メールの禁則処理を拡張するアドインソフトウェアです。
・メーラー
*取引先との連絡の他、原稿を添付ファイルで受け渡しするためにも電子メールを送受信するソフトウェアが必要です。Microsoft Outlook、Outlook Expressの他、以下のものがあります。
◎秀丸メール
シェアウェア。秀丸エディタに送金した人は無料。そうでない人は2000円+税。秀丸エディタの機能がほとんど使えるようになっています。
*秀丸メールの設定については、「【PC】翻訳のためのPCと設定」の「2.5 メーラーの設定」をご参照ください。
*秀丸メールマクロライブラリで、秀丸メール用のマクロが公開されています。
*秀まるおのホームページで、秀丸メールの設定内容やメールデータを新しいパソコンに移行する手順が紹介されています。概要はこちら、詳細はこちら。
*秀まるおのホームページで「他のメールソフトから秀丸メールへの移行方法」が紹介されています。
*秀まるおのホームページに「迷惑メールフィルターの設定方法」「セキュリティを高める設定紹介」があります。
◎分割禁止拡張 for 秀丸エディタ/秀丸メール
フリーウェア。秀丸エディタや秀丸メールの禁則処理を拡張するアドインソフトウェアです。
◎Becky! Ver.2
シェアウェア、4000円+税。試用期間は30日間で、機能制限はありません。代表的なメール用ソフトウェア。複数のメールボックスの管理、フィルタリングマネージャ、テンプレート機能など、さまざまな機能が充実しています。
*Becky! Ver.2は、プラグインによる機能拡張が可能です。例えばこちらにある無料のMailOpen Pluginを使用すれば、秀丸エディタなどのソフトウェアと連携することができます。
*Hotmail、Yahoo!メール、Gmailなどのフリーメールは信用度が低いので、取引先とのやり取りには使わない方がいいでしょう。しかし以下のように、バックアップの手段として活用することができます。
●Gmail
Googleが提供するメールサービス。日本国内なら誰でも自由に登録し使用できます。莫大な容量、充実した検索機能、チャット機能などが特長。
*Gmailをメールのバックアップに活用することができます。受信メールはプロバイダのサイトで、Gmailのアドレスに転送されるよう設定します。この時、転送時にサーバにメールを残すようにします。送信メールはメーラーを設定し、GmailのアドレスがBccに自動で入力されるようにします。すると受信、送信したメールが自動的にGmailへも保存されます。保存されたメールは、Googleの強力な機能で検索できます。メールの設定方法は、プロバイダのサイトやメーラーのヘルプをご参照ください。またファイルを添付したメールを自分のGmailアドレスへ送ると、ファイルをバックアップできます。
・バックアップ
*データの消失を防ぐため、バックアップは欠かせません。BunBackupで外付けHDDなどへ定期的にデータ保存するとよいでしょう。
◎BunBackup
フリーウェア。簡単高速にファイルのバックアップができます。カスタマイズ性が高いのが特長で、バックアップの対象ファイル、条件、時刻、間隔などを指定したり、ミラーリングをしたりすることができます。
*BunBackupの公開15周年を記念して、「バックアップ入門」が公開されています。
・会計
*個人事業主として翻訳業を始めると、事業所得を確定申告する必要が生じます。その際、青色申告をする方が節税になりますが、決算書の作成が大変です。会計ソフトウェアを使えば、記帳するだけで決算書が自動的に作成できます。
*「【書誌(実務編)】仕事としての翻訳」の「会計」、「【経理】翻訳者の経費」、「【経理】翻訳者の青色申告(準備編)」、「【経理】翻訳者の青色申告(仕訳編)」もご参照ください。
◎○やよいの青色申告
代表的な会計ソフトウェア。家事按分機能など、個人事業主向けとなっています。
*体験版をこちらからダウンロードできます。試用期間は30日間で、一部機能が制限されています。
*やよいの青色申告 オンラインも提供されています。体験版はこちら。
*スマート取引取込では預貯金口座の明細を取り込んだり、レシートをスキャナやスマートフォンで自動仕分したりすることができます。詳細は弥生株式会社のスマート取引取込 活用ガイドをご参照ください。
*e-Taxを利用するには利用者識別番号の取得が必要です。詳細はe-Taxの「ご利用の流れ」をご参照ください。
2. 翻訳業務に役立つソフトウェア
*Microsoft PowerPointは、PowerPointファイルの上書き翻訳を依頼された時点で購入を検討すればよいでしょう。また案件によっては、SDL Tradosなど翻訳支援ソフトウェアの使用を義務づけられることがあります。こうしたソフトウェアは一部の翻訳にしか適せず、高額な場合もあるため、必須の依頼があり、かつそうした依頼を引き受けたいのであれば導入するのがよいと思われます(取引先が無償で提供してくれることもあります)。
・辞書検索
*PC上で翻訳を行う場合、電子辞書ソフトウェアを使用するのが便利です。その際EBWin4を使えば、複数の電子辞書を一括検索できます(辞書データは別途購入する必要があります)。
◎EBWin4
フリーウェア。EPWINGや電子ブックなどの辞書を一括検索できます。ウェブ辞書の検索も可能。
◎かんざし
フリーウェア。複数の辞書ソフトウェアやウェブサイトを一括検索するソフトウェア。
・文書処理
◎SimplyTerms
フリーウェア。翻訳者のBuckeyeさんが翻訳のために作ったソフトウェア。英日対訳集による一括置換、正規表現による文書編集、Word、Excelファイルからのエクスポートやインポートなど、翻訳に役立つ機能がまとめられています。秀丸エディタと併用すると更に威力を発揮します。こちらにある秀丸マクロが同梱されています。
*SimplyTermsに関する詳細は、SimplyTermsヘルプをご参照ください。
*SimplyTermsで、本サイトの「【アーカイブ(英日対訳集)】」「【アーカイブ(正規表現)】」で配布しているテキストファイルの英日対訳集や正規表現ファイルを使用できます。
*SimplyTermsの活用法については、杉山範雄『あの手・この手の特許翻訳』(エイバックズーム、2011年、2800円+税)もご参照ください。
*技術翻訳者のブログ「まだら猫の翻訳日記」で、SimplyTermsの使用法が解説されています。
・検索
◎KWIC Finder 4
シェアウェア。1000円+税。PDF、Word、Excel、PowerPointなど、多数のファイル形式に対応したgrep検索およびテキストビューア。
・OCR
*原稿が紙で渡された場合、スキャナーで読み込んだ後、OCRソフトウェアでテキストファイルやWordファイルにします。しかし最近は紙原稿でのやり取りも減ってきています。
*実務翻訳者であるBuckeyeさんのブログ「Buckeye the Translator」の以下のページで、OCRソフトウェアの使い方を含めた紙原稿の処理法が紹介されています。
「OCRによる紙原稿のテキストファイル化」
◎○e.Typist(Amazonへのリンクでパッケージ版はこちら、ダウンロード版はこちら)
e.Typistは58カ国語に対応、e.Typist NEOは日本語と英語の2カ国語にのみ対応しています。体験版をこちらからダウンロードできます。体験版の試用期間は5日間で、一部機能が制限されています。e.Typist Oneは日本語と英語の2カ国語に対応している、短期間での利用が可能なモデルです。
◎○読取革命(Amazonへのリンクでパッケージ版はこちら、ダウンロード版はこちら、カード版はこちら、通販サイトでのダウンロード版はこちら)
パナソニック製の日本語OCRエンジンとABBYY社製の英語OCRエンジンを搭載し、両言語に対応。現在はソースネクストが販売しています。
・ファイル受け渡し
*原稿の容量が大きくメールに添付するのが困難な場合、ファイルホスティングサービスを用いて受け渡すという方法があります。
●GigaFile(ギガファイル)便
ファイルホスティングサービス。1ファイル300Gまで、個数無制限で3日、5日、7日、14日、30日、60日または100日間預かってくれます。登録不要でパスワードの設定も可能。大容量のファイルを送るのに便利。
◎アタッシェケース4
フリーウェア。ファイル/フォルダをドラッグ&ドロップするだけで暗号化できます。復号化も簡単なため、個人情報の書かれたファイルを受け渡す時などに有用。
*「オプション」-「動作設定」-「一般」-「パスワード」-「暗号化時のパスワード保存」で暗号化時のパスワード入力を、「オプション」-「動作設定」-「一般」-「パスワード」-「複合時のパスワード保存」で複合時のパスワード入力を省略できます。パスワードを一つしか使用していない場合、「オプション」-「動作設定」-「一般」-「パスワード」-「暗号/複合時に確認無しに記憶パスワードで実行する」にチェックを入れておくと手間が省けます。
*「オプション」-「動作設定」-「削除」-「複合」-「複合後に暗号化ファイルを削除する」にチェックを入れると、暗号化ファイルを複合時に自動で削除できます。
*「オプション」-「動作設定」-「システム設定」-「「送る」フォルダーにショートカットを作成」で、ファイルを右クリックした際に表示される「送る」に「アタッシェケース」を追加できます。
*「オプション」-「動作設定」-「設定の保存/復元」で、アタッシェケースの設定を保存/復元できます。
・送金
*国外の取引先から翻訳料を受け取る際、PayPalなら手数料がかかりません。
●PayPal
登録料無料。国外の取引先から翻訳料を受け取る際に便利。登録したメールアドレスを知らせるだけで、手数料無料で送金してもらえます。その後、日本円に換算して日本の預貯金口座へ振り替えることもできます。
3. その他のソフトウェア
・ソフトウェアライブラリ
窓の杜
編集部によって厳選された、Windows用のオンラインソフトをダウンロードできます。記事が充実している他、メールマガジンで記事や更新情報を受け取ることもできます。
・PC管理
◎Glary Utilities
個人かつ非商用利用でのみフリーウェアですが、一部機能が制限されています。これだけでPC管理はOKの万能ソフトウェア。「レジストリ クリーナー」「一時ファイル クリーナー」「ショートカットの修復」「利用痕跡の消去」「スタートアップの管理」「スパイウェアの除去」を一度に行える「1-クリック メンテナンス」機能が便利。他にもモジュールとして「ディスク クリーナー」「メモリの最適化」「Registry Defrag」「ファイルの完全削除」「ファイルの復元」「ディスクの分析」「プロセスの管理」などの機能があります。
・カスタマイズ
◎AutoHotkey
英語のフリーウェア。動作を記述したスクリプトを作成することで、Windowsのキー操作を変更できます。
*「Windows + R」で「ファイル名を指定して実行」を起動、「shell:startup」と入力して「OK」を押すと、「スタートアップ」フォルダーが開きます。そこにAutoHotkeyスクリプトファイルのショートカットアイコンをコピーすると、起動時に実行させることができます。
*プログラム言語を理解する必要がありますが、AutoHotkey Wikiなど日本語の説明をウェブ上で見つけられます。
*スクリプト自体も公開されています。例えば「AutoHotKeyで「二重引用符で囲んでGoogle検索」に成功!」にあるものでは、ファイル上の文字をハイライトして「Windows + G」を押すとGoogleでフレーズ検索できます。ただ、「Windows + G」はWindows 11のデフォルトでゲームバーが起動します。対策として、例えば1行目のgをfにすると「Windows + F」で検索できるようになります。
◎秀Caps
フリーウェア。秀丸エディタと同じ作者によるソフトウェア。「英数キーをCapsLockキーにする」「テンキー上のピリオド2回でコンマ入力」など、キー操作をカスタマイズできます。
◎X-Mouse Button Control
フリーウェア。マウスボタン、ホイール、チルトに任意の機能を割り当てることができます。アプリケーションごとにも可能。
・音声読み上げ
◎Balabolka
音声読み上げソフトウェア。任意の場所で音読を止めてそこから再開できる、カーソルを移動した後の位置から再生できるなど多機能なためシャドーイングにも適しています。シャドーイングについては「【記事】ディクテーションとシャドーイング」の「シャドーイングとBalabolka」をご参照ください。
*ディスプレイ付属のスピーカーで再生すると、再生してすぐソフトウェアが終了する場合があります。
・タイピング
●e-typing
無料でタイピング練習ができるサイト。ローマ字、英語、かなに対応。画面にキーボードが表示され、押すべきキーと使う指が色を変えて示されるため、適切な指使いを学べます。無料の会員登録をすれば、タイピングカルテ、会員用練習メニューといった特典あり。
・ブラウザ拡張機能
◎その本、図書館にあります。
Google Chrome用のブラウザ拡張機能。公立図書館や大学図書館をあらかじめ登録しておけば、Amazonで書籍を検索するとその図書館にあるかどうか、貸出中や予約中かなどが自動で表示されます。